日本人の3人に1人が日本語を読めない
そんなフレーズを耳にしたことがある方、居るのではないでしょうか?
そして、
・3人に1人とは多い、嘆かわしい事だ
・日本の識字率ってほぼ100%なんじゃないの?
といった感想を抱くのかと思います。初めてこのフレーズを聞いた時、私も同じようなことを思いました。
しかし、最近目にしたときに『何をもって/どうやって読解力がないと判断したのか』という事が非常に気になりました。
だってそうですよね、判断の基準が理解できなければ私自身が読解力のない3人のうちの1人なのかもしれませんから笑。
さっそく、初めて行きましょう!
元ネタは橘玲氏
『日本人の3人に1人が日本語を理解できない』というフレーズを広めたのは橘玲氏と言っても過言ではないでしょう。
『橘玲著:もっと言ってはいけない』で書かれているようです。
また、橘玲氏が週刊プレイボーイ2019年1月21日発売号に掲載したコラムでその旨が語られています。
https://diamond.jp/articles/-/192261
とある調査を元に導き出した答えが『日本人の3人に1人が日本語を理解できない』という事になります。
では、「とある調査」とは何でしょうか。それはOECD国際人力調査です。
OECD国際人力調査のデータを元に語られている
OECD国際人力調査と言われても読んで字のごとくとはならないですよね。
まずはじめにOECDとは経済協力開発機構という組織で「欧州と北米が対等のパートナーとして自由主義経済の発展のために協力を行う機構」とされています。
そして、そのOECDが調査を行ったものが国際人力調査です。
OECD国際人力調査の内容は文部科学省のHPで気軽に見ることができます。
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm
何をもって読解力が無いとされているのか
何をもって日本語を読めないとしているのかは非常に重要です。
事実が重要という事は皆理解していることだと思います。
しかし、事実をどうとらえたのかが噛み合っていなければその事実も虚構でしょう。
事実・どう考えたのか・主張の3点セットをトゥールミンロジックと言います。トゥールミンロジックはコチラで書いているので良かったら読んでみてください。
話を戻して、たとえ話になります。
→天気予報が雨は本当だが自分の地域の予報は快晴だった
→経済成長率は高いが、去年はコロナショックで売り上げが激減していた
「事実は合っているが考え方が違う」という具合です。マコなり社長が言っていた『事実なんてね、言ってしまえば嘘なんです』という言葉を1年近く経つのにまだ覚えています。
違う動画ですが、上記動画の5:58あたりで事実そのものに対する疑念を語っています。
極端な話、「下位30%は読解力が無いとみなす」という基準であれば理解できる反面『日本人の3人に1人が日本語を読めない』という主張には無理がありますよね。
橘玲氏はOECD国際人力調査で1~5にレベル分けされた2レベル以下の人は日本語を読めていないとしている様です。
調査結果は以下のようになっています。
約28%がレベル2以下となりますね。つまりは1/3です。
言い換えるのであれば日本人の3人に1人はレベル2以下という事になります。
続いて出てくるのはレベル2以下はいったいどんな習熟具合なのかという点でしょう。
レベル2以下はどんな人?
各レベルは以下の様に定義付けをされています。
レベル1未満 | よく知っている話題についての短い文章を読み、特定の情報を1つ見つける。文章には迷わせる情報はほとんど含まれていない。基礎的な語彙に関する知識のみが必要で、センテンスや段落の構造を理解したり、その他の文章の特徴を利用する必要はない。 |
レベル1 | 比較的短い文章をコンピュータ上または紙面で読み、質問または指示された情報と同一または同義の情報を見つける。基礎的な語彙を理解し、文章の意味を判断し、まとまった文章を読む知識とスキルが評価される。 |
レベル2 | コンピュータ上または紙面で文章と情報とを照合し、言い換えや簡単な推測を行う。 |
レベル3 | このレベルで出される文章は、難解で冗漫なものが多い。文章と修辞的な構造を理解するとともに、コンピュータ上の複雑な文を探すことが求められる。 |
レベル4 | 複雑な長文から情報を集めて理解し、まとめる複数段階の操作を行う。多くの問題で、具体的な 1 つ以上の中心的でない考え方を見つけて理解し、わずかな証拠しかない主張または説得力のある対話を解釈、評価することが求められる。 |
レベル5 | 複数の難しい文全体から情報を探してまとめる、類似および対照的な思想または見解を要約する、または証拠に基づいた議論を評価することが求められる。回答者は微妙で修辞的な手がかりをみつけて、高度な推測を行ったり、専門的な背景知識を用いる必要がある。 |
つまり、レベル2以下の人は文章と情報とを照合し、言い換えや簡単な推測ができないという事になります。
文章と情報を照合し言い換えや簡単な推測と言われてもどの程度のレベルかはちょっと分かりにくいですよね。
・簡単な推測って数学的に簡単ってこと?
みたいな疑問が出てくるでしょう。
国際人力調査の例題を見てみましょう。コチラで見る事ができます。
レベル2の問題は市民マラソンの開催者の電話番号を探すものになっています。
情報の塊であるホームページから必要な情報にアクセスするために何をすれば良いのか推測する訳ですね。
あくまで肌感覚かもしれませんが「これができない人が日本語が読めない」とされている人なんだなという事が理解できたのではないでしょうか。
「ホームページを見れない人」と考えると意外と多いか
『日本語が読めない』と言われるとピンときませんよね。
しかし『ホームページが見れない人』と考えると身近に居るのではないでしょうか?
余談
私自身は『日本語が読めない=ホームページが見れない』というよりも『情報の取捨選択ができない=ホームページが見れない』という言い方の方がしっくり来ます。
ただ、日本人の3人に1人が情報の取捨選択ができないだとインパクトが弱いですね笑
橘玲氏は『確かにそうとも言える』というギリギリのラインで本を書いていたんだなぁと思える一件でした。
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとうございました!