昨日、ネットを見ていると
「このコロナ禍で出歩く奴はゲーム理論を理解している」
みたいな書き込みを見かけ
・ゲーム理論って何?
・ゲーム理論を理解していると出歩けるのか?
と言った疑問が浮かびました。自分なりにまとまってきたので1つ記事にします。
ゲーム理論とは合理的に考えるプロセスの1つ
まず初めにゲーム理論とは…と解説を始める前に大枠のところで伝えると
と考えると分かりやすいです。私は最初これを掴むのに時間がかかりました。
ゲーム理論の概要
ゲーム理論は数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンにより1944年 に誕生しました。
現代では海外のMBAでも必須の科目とされているんだとか。
ゲーム理論で大事な3つのこと
ゲーム理論で大事なことは3つ
・起こり得る未来を予測する
・適切な解決策を見つける
です。
問題の全体像とゲームのルールを把握する
まず初めに問題の全体像とゲームのルールの確認。
自分の事だけでなく関わる全てに対してルールの把握が必要。
意外とできていないことが多いですね。
自分を把握するだけで精一杯かもしれませんが重要。これを正確にできないと全体が回らなくなってしまいます。
起こり得る未来を予測する
把握した全体像・ルールを用いてその後の動きを予測します。
考えうるすべての未来を予測する必要があります。
予測が出来たら次の決断をする段階に進みます。
どのような行動を取るか決める
起こりうる未来が見えたら自分が取るべき行動を決めます。
この時に役に立つのが2つの考え方
・パレート最適
・ナッシュ均衡
です。
全体主義のパレート最適
「パレート最適」とは、誰も不利益を被ることなく、全体の利益が最大化された状態(それ以上利益を出すためには誰かを犠牲にしなければいけない状態)のことです。
「全体主義、誰も損をしない。」というイメージですね。
個に目を向けた合理的なナッシュ均衡
「ナッシュ均衡」は、自分の選択を変えると利益が得られない状態=互いに現状から変わる必要のない安定した状態のことを指します。
ちょっと堅苦しいですね。もっとかみ砕いて言うと互いが妥当な選択肢を取っていて動かない(均衡した)状態という事ですね。
分かりにくい例題:囚人のジレンマ
ゲーム理論でググれば100%この囚人のジレンマの紹介が始まります。
この例題だけではゲーム理論を完全に理解することは難しいです。なぜなら囚人のジレンマに明確な答えが無いからです。
Wikioediaに膨大な量の実験や考え方が記載されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
例題:囚人のジレンマ
サッと行きます。
ある2人の囚人ABが別々の独房に入り、取り調べを受けます。
その時、取調官はこのような取引を持ちかけます。①あなたが自白して、相手が黙秘したら、あなたを無罪にしよう。
ただしその場合、相手は懲役3年になる。
②あなたが黙秘して、相手が自白したら、あなたは懲役3年になる。
ただしその場合、相手は無罪になる。
③2人とも自白したら、2人とも懲役2年になる。
④2人とも黙秘したら、2人とも懲役1年になる。
引用:noby noBy ゲーム理論とは?戦略的思考を身につける3つの最重要ポイント
ではここで先ほどの3の大切な事
・問題の全体像とゲームのルールを把握する
・起こり得る未来を予測する
・どのような行動を取るか決める
に照らし合わせて行きましょう。
問題の全体像とゲームのルールを把握する
この問題は「黙秘と自白、どちらを選択するか」ですよね?
そしてゲームのルールは取調官が説明してくれました。
更に、AとBは独房に入っているため、互いの情報のやり取りができません。
起こりうる未来を予測する
起こりうる未来を予測するとこの表を作ることが出来ます。これもよく見るヤツですね。
囚人A | |||
黙秘 | 自白 | ||
囚人B | 黙秘 | 二人とも懲役1年 | Aは無罪 Bは懲役3年 |
自白 | Aは懲役3年 Bは無罪 | 二人とも懲役2年 |
未来は見えました。
パレート最適とナッシュ均衡
先ほど登場したパレート最適とナッシュ均衡。
パレート最適は全体主義、誰も損をしないという事でしたね。
この問題でいうとパレート最適は『どちらも黙秘』です。なぜなら互いの懲役を足したときに最も小さいからです。
ではナッシュ均衡はどうでしょうか?
ナッシュ均衡は互いが妥当な選択肢を持って動かない時。
この問題のナッシュ均衡は『どちらも自白』です。
妥当な選択と言うのは『自白を選んでおけば大損はしない』という事ですね。
自白を選んだ場合:懲役2年or無罪
このように並べると平均を取った時に自白の方が合理的に見えますよね。
このように、全体の得になるパレート最適と個人の合理性ナッシュ均衡は一致しないという事があります。これが囚人のジレンマという訳ですね。
...囚人のジレンマは分かったかもしれませんが、『どの選択を取るのか?』というところは明確な決断はされていません。
ここの「結局何を選ぶんだ?答えが出せないのに何が有用なんだ?」という感情がゲーム理論を分かりにくくしているのかもしれませんね。
(繰り返し)ゲーム理論で大切なこと
繰り返しになりますがゲーム理論で大切なことは以下の3つです。
・起こり得る未来を予測する
・どのような行動を取るか決める
中でも
・問題の全体像とゲームのルールを把握する
・起こり得る未来を予測する
の2つが出来ればゲーム理論の初歩はできたと言っても同然です。
そして『どのような行動を取るか決める』については
・パレート最適
・ナッシュ均衡
に照らしあわせてパレート最適とナッシュ均衡が一致していればその選択が最適解です。
パレート最適とナッシュ均衡が一致しない場合、また違う考えが必要ですがここでは書きません。
コロナ禍をゲーム理論で考える
さ、今回の本題です。
コロナ禍をゲーム理論で考えてみましょう。
ゲーム理論で大切な3つの事
・起こり得る未来を予測する
・どのような行動を取るか決める
に当てはめて行きます。
問題の全体像とゲームのルールを把握する
かなり簡略化して考えます。
登場人物は『あなた』と『他の人』。
どちらも取れる行動は2つ自粛するか、しないかです。
・あなたが自粛しない場合、コロナを患う可能性がある
・あなたが1人が自粛をしても、コロナの収束に影響はない
・他の人が自粛をした場合、コロナは収束します
・他の人が自粛しない場合、コロナが蔓延します
起こり得る未来を予測する
起こりうる未来はこんな感じになります。
他の人 | |||
自粛する | 自粛しない | ||
あなた | 自粛する | あなたはコロナにかからない コロナ禍が収束する | あなたはコロナにかからない コロナ禍は続く |
自粛しない | あなたはコロナを患う可能性がある コロナ禍が収束する | あなたはコロナを患う可能性がある コロナ禍は続く |
どのような行動を取るか決める
先ほどのパレート最適とナッシュ均衡の登場。
パレート最適は自粛一択ですね。
しかし、ナッシュ均衡はそうではありません。
これでは囚人のジレンマと同じですね。そして答えはありません。
他の条件を足していけば話は変わるかもしれませんがコロナ禍が収まらない今現在、ナッシュ均衡は「自粛をしない」で間違いないでしょう。
コロナ禍をゲーム理論で考えても答えナシ。おしまい。ではあまりにも雑。
そのため、続きで『裏切りの連鎖』へちょっとだけ続きます。
囚人のジレンマの続き、裏切りの連鎖
囚人のジレンマの話には続きがあって、この実験を繰り返し行うものがあります。
結論から言うと
という話。
今のコロナ禍も全く同じ状況なのかもしれませんね。
解決のためにはナッシュ均衡を崩さなければなりません。