無駄な消費を減らすため、戦略十訓という言葉は覚えておいて損は無いと思うので紹介しようと思います。
戦略十訓は電通のPRで1970年代に提唱されたものですが、今現在は使われていないません。しかし、有効な場面も多く電通に限らず様々な場所で有効活用されているものと考えて良いでしょう。
戦略十訓を知ることによって「これって要らないものを買わされているのでは?」と無駄遣いを抑える効果が期待できます。
また、身の回りの営業を戦略十訓に当てはめて「今回はこれだな!」という一歩引いた視点で見る事ができるようにもなり、鬱陶しいセールスや炎上商法を違う視点から見れるようになるくらい面白いモノだと私は思います。
戦略十訓
戦略十訓は以下の10項目で成り立っています。
- もっと使わせろ
- 捨てさせろ
- 無駄使いさせろ
- 季節を忘れさせろ
- 贈り物をさせろ
- 組み合わせで買わせろ
- きっかけを投じろ
- 流行遅れにさせろ
- 気安く買わせろ
- 混乱をつくり出せ
また、戦略十訓は『浪費をつくり出す人々(著:ヴァンス・パッカード)』という1960年くらいの書籍が元ネタとして作られているようなので気になる方は本も読んでみると面白いかもしれません。
電子書籍化されていない本のため、古本屋くらいでしか入手できません。
この十訓は玉石混交。今ではあまり有効ではないものから、今でも十分に強力な効果を持ったものがあります。
一つ一つ解説していきます。
シンプルな「もっと使わせろ」
もっと使わせろは非常にシンプルで分かりやすい切り口。
既に足りているのに「まだ足りない」と思わせることでさらにニーズを引き出させる手法です。
エジソンがトースターを売るために人の食事を2食から3食にした話は有名ですよね。
また、日本人が洗髪をする頻度が増えたのも近いものを感じます。戦後は月に1~2回だったのが今では毎日が当たり前ですし、なんなら1日に2回髪を洗う方も最近では珍しくも無いでしょう。
もし無駄な消費をしたくないのであれば「既に足りているのになぜ?」という見方があると良いですね。
つまり、『足るを知る』ことで防御力がアップします。
”もっと使わせろ”は今では通用しにくい?
「もっと使わせろ」は現代では若干通用しにくいと考えて良いでしょう。
それは増やすことにも限界があるからです。
先ほどの食事を例にすると4回5回と増えたとしても満腹感によって歯止めが効きます。
洗髪で言えば1日に3回もシャンプーをしていては時間がいくらあっても足りません。今までのシャンプーを覆すような「スプレーするだけで洗髪完了」みたいな画期的な商品が生まれなければ難しそうです。
逆に増やすことに限界の無いものには有効です。
増やすことに限界の無いものの最たる例は承認欲求と言っても過言ではありません。
「もっと認められたい」と考えるのは誰しもが思う事。「これを買えばもっと人に認められますよ」という売り方は今でも健在です。
承認欲求を否定すれば『足るを知る』に近づけるかもしれませんね。
「捨てさせろ」で捨てた跡地を埋めさせる
モノにあふれた現代ならではの考え方と言っても良いでしょう。
捨てさせることで新しく買わせることができます。早い話が買い替えニーズです。
また、空いたスペースがあるとついついモノを置いてしまったり、もし捨ててしまったモノが必要な機能を兼ね備えていた場合、違う商品で穴埋めをしなければなりません。
例えば「こたつは不要」と主張されこたつを捨てるもしくは片づけたとき、作業用の机が無ければ新しく買わなければなりませんし、寒さをしのぐために別の手段を取らなければいけなくなってしまいます。
物を捨てるときには「捨てた事で別のものが必要にならないか?」と考えると良いですね。
ミニマリストは「捨てさせるための罠」?
私がこの戦術十訓で「捨てさせろ」を見た時に真っ先に思い浮かんだのはミニマリストでした。
いつぞやにテレビで紹介された『家に布団しかない人』みたいなミニマリストの方は一生ミニマリストとして生きるのであれば問題ありませんが、「やっぱり物は必要だ」と考えを改めた時に普通に暮らしてきた人以上にモノを買わなければなりません。
モノにあふれた現代で自らモノを手放すことは、売る人にとって最大のチャンスと言っても良いでしょう。
ちょっと気になって「ミニマリスト 捨てさせろ」とかで調べたら既に5年も前にミニマリストと戦略十訓について書いている方が見つかりました。
「無駄使いさせろ」は言い換えれば「情弱を狙え」
無駄な事全てを否定するつもりはありませんが、多くの物事に置いて無駄は大敵です。
「これから無駄使いをするんだ」と無駄使いや浪費をしている人は1人も居ないと思います。しかし、後から振り返れば無駄使いだったと感じるものは多いのではないでしょうか?
なぜ無駄遣いだったと後になってから気づいたのか、その答えの1つとして「お得なモノを知らなかった/知ることが面倒だった」ということが挙げられます。
私の例で言うとスマホの料金をずっとキャリアの普通料金で支払っており、格安プランの登場時にやっと切り替えてスマホ料金を安く使えるようになりました。
なぜそれまでずっとキャリアの高い料金を支払い続けていたのかと言うと単純に面倒くさかったから。
面倒くさがるだけで月に数千円も損していたのは一言で言えばアホですよね。
しかし、同じような状況の方も少なくないのでは無いでしょうか?
知らない事は調べる、面倒くさがらないこと。至極当たり前な事かもしれませんがまさに基礎こそ奥義、徹底していきましょう。
世界が変わり続ける限り、情弱は生まれ続ける
世界が変わり続ける限り情弱は産まれ続けます。
言い換えると「かつて情報強者だったとしても時間が経てば情弱になる可能性がある」ということです。
だってそうですよね?10年前の通説を持ちだされても現状が見えていない以上情弱と呼ばざるを得ません。
以前、生協パソコンを買うべき理由と言う記事を書きました。
こちらは「生協パソコン=情弱が買うマジモンのゴミ」という古い通説を信じている方などに向けて書いた記事ですが、似たようなことはいろんなところで起きていると私は思います。
・昔はそうだった
・今までそうやってきた
という理屈は決して間違いでは無いものの、重大な欠陥を抱えている可能性があるため注意が必要ですね。
今や当たり前の「季節を忘れさせろ」
冬は寒いですし、夏は暑いですよね。
今では当たり前のようにエアコンで年中快適な室温で生活することができます。
また、冬にこたつでアイスを食べる贅沢が好きと言う方も少なくないと思います。もちろん私も好きです。
しかし、季節に逆らっている訳ですから普段以上のコストが生じている事は頭に入れておいても良いと思います。
と言ってもエアコンが当たり前になっている現代では暑さ/寒さに対する購買意欲は大きくはないでしょう。
そう、私たちは既に季節を忘れつつあるのです。
それでもまだ季節による商品は数多くあります。
『これって季節が○だからしょうがないよね』と受け入れることが重要なのかもしれません。
ただ、私は花粉症を絶対に防ぐマスクが出たら速攻で買ってしまう自信があります。春特融と言えど許容し難いです。
今では衰退した「贈り物をさせろ」
贈り物と聞くと良い事のように思えますよね。
しかし、これがお歳暮やお中元といった半分義務感でやらなければいけない事だとしたらどうでしょう?
・大して親しくもないけど義務感で贈り物をする
・時期になったからといって贈り物をする
一言で言えば「うんこ」です。
そのため今ではお中元やお歳暮という言葉すらあまり聞かなくなってしまいました。
だからと言って「贈り物をさせろ」が無くなった訳ではありません。
繰り返しにはなりますが、贈り物そのものは悪い事ではありません。だからこそ「贈り物をさせろ」に気を付けなければいけません。
・○○は××の日だから△△を贈るイベント
・この商品は贈り物に最適です
というプロモーションが今でも通用しているのは「贈り物をすることが良い事である」と信じている方の善意を利用していると言っても良いでしょう。
極端な話、自分で「なにかあげたい」と思わない限りは贈り物の情報を見ることすら良い選択肢では無いかもしれません。
「組み合わせで買わせろ」で感じる”お得感”は罠
今ではもはや「組み合わせで買う」ことの危険性を承知である方は多いかもしれません。
・セットにすると30円引き
・お徳用詰め合わせ
みたいな売り方の商品は、本当に必要なもの単品で考えると「そんなに要らないかも」という商品の値段分損していると言っても過言ではありません。
それでも人が組み合わせで買う事を辞められないのは「お得感の罠」が存在するから。
たとえ話で言うとAmazonの送料とか分かりやすいです。
Amazonプライム会員でなければ2000円以下の商品の注文には送料がかかってしまいますよね。逆に言えば2000円以上注文すれば送料はタダです。
この「送料タダ」が欲しくて2000円以上になるように本来不要であった商品を注文してしまった経験がある方はいるのでは無いでしょうか?
最近私がAmazonで購入したのはMiband5の替えバンドですが、商品代金1000円+送料400円くらいでしたが特別欲しいものも無かったので「お得感」こそありませんがこれで良かったと思っています。
私はあまりAmazonで買い物をしないのでこれで良いのかもしれませんが、頻繁に買い物をする方であればそうはいきませんよね。もしかしたら送料の方が高くついてしまう可能性もあります。
もし、Amazonを頻繁に利用する方であればAmazonプライム会員になれば送料無料にするために無駄な買い物をする手間やお金を省けるでしょう。
「得をしたい」という気持ちが強すぎると逆にカモにされてしまう可能性があることを頭の片隅に置いておくと良いかもしれませんね。
「きっかけを投じろ」は至る所に存在する
全ての購買行為はきっかけの集合と言っても良いかもしれません。
きっかけ無しに「何かを欲しい」とか「ここで買おう」と思う事は無いでしょう。どんな些細なきっかけであれ存在しています。
昔であればそのきっかけはTVやCMでしたが今では多岐に渡ります。
・Youtube
・インフルエンサーの紹介
・ブログの記事
・メルマガ
・クーポン
・アプリの通知
・ネット広告
・ダイレクトメール
上げ始めたらキリがありませんし、この全てを遮断することはほぼ不可能と言って良いでしょう。どんなコンテンツであれ広告は存在しています。現に、今読んでくれているこのブログにも広告が貼られています。
ではどうしたらよいのかと言うと、私は広告の選別を推奨します。
自分が見たいものに付いている広告は受け入れる。見なくても問題ないものは広告ごと遮断するという具合ですね。
特にクーポン系のアプリは通知が来ると気になってしまいますし、無意識のうちに頭に残ってしまうので今すぐ通知OFFに設定することをオススメします。
ポイントカードは今すぐ捨てて
今更な話かもしれませんが、あまり行かない店舗のポイントカードを持っている方は今すぐ捨ててください。
私が戦術十訓の「捨てさせろ」を実践してみたくなった訳ではありません。ちゃんと理由があります。
そもそもポイントカードのポイントは使ってこそ意味があります。逆に言えば使わなければ無いも同然です。
あまり行かない店舗ということは、そのポイントは貯めるだけ無駄ということになります。
「無駄だから捨てろ」と言うのはちょっと行き過ぎなのでは?と考える方も居るかもしれませんね。もう一つ理由があります。
ポイントカードは持っているだけでその店舗をひいき目に見てしまう可能性があるからです。
簡単な話、ポイントが付く店舗と付かない店舗だと、ポイントが付く店舗を選んでしまいますよね。
価格の比較すらしない方も居るのではないでしょうか。その場合、ポイントが付かない店舗の方が結果的に安く買えたとしてもその機会を逃してしまう事になります。
ポイントカードは持っていてもTポイントカードや楽天ポイントを「知らない間に溜まっていた」くらいに留めておいた方が良いでしょう。
余談ですが、店舗はキャッシュレス決済による手数料を取られています。
キャッシュレス決済に対応しない事で安い価格で商品を買える店舗を知っておくことが大事だと私は思います。これについては「キャッシュレス至上主義の弊害」という記事を書いているので気になったら読んでみてください。
「流行遅れにさせろ」は多分なくならない
『流行遅れにさせろ』はずっと残り続ける強力な手法の1つでしょう。
先にも登場しましたが人間の承認欲求の強さはハンパではありません。
- まだこれ持ってないの?
- こんなことも知らないの?
- 最近の流行りも知らないのかぁ
こうやって並べ立てると非常に陳腐な営業トークですが、さらっと使われると煽られた事しか理解できません。
最近の例だとこのツイート
これ完全な偏見だけど有線イヤホンは今や厄介な人を見分ける踏み絵になりつつある気がしてて、やたら新しい物を嫌うか、ITリテラシーが超低いか、音質に拘りが強すぎるか、わずかな音ずれを許せないゲーマーか、利便性より安さを極端に優先する人のどれかで、どれに該当しても癖が強めで身構えてしまう
— トーマス@ガジェマガ(バイク日本一周中) (@gadgetKaeru) April 12, 2022
このツイートを見た時の一発目の感想は「偏見でよくもこんなに有線イヤホンをバカにできるな」 でした。
どうやらこのツイートの下にオススメワイヤレスイヤホンの記事が張ってあり、動画で「動画撮影時点で1万円程度の収益」と言っていたことからある程度の効果があった訳です。
もちろんこのツイート主のフォロワー数が多い事も収益が上がった要因の1つですが、人を煽る能力も収益が上がった要因の1つと言っても間違いないでしょう。
仮にこのツイートが「これに該当する人以外はワイヤレスイヤホンが良い」というありふれた内容であれば多くの方は見向きもしないでしょう。
人に煽られた時やコンプレックスを刺激された時、抗う事はほぼ不可能です。
煽り売りをしている人物からは遠のくが吉。全ての人から認められる事は不可能なので気にするだけ無駄。
「気安く買わせろ」で気安く買えるようになった今やるべきこと
現代に置いて買い物は非常に気安く行える様になっています。
スマホ1台あればほとんどの事が完結しますし、なんなら今お金が無くてもクレジットカードや分割払い,残クレ等の方法で購入することができます。
そう、繰り返しになりますが現代に置いて買い物は非常に気安く行える様になっているのです。
スマホにカード情報を入力していればポチる事は非常に簡単に行えますよね。また、サブスクにしていてお金を支払っている感覚が無い方も居るのでは無いでしょうか?
大事な事は気安く買えるようになっている今、どうしたら良いのかだと思います。
正解は「買うべきものを見定めろ」ですが、これって結構難しい事だと私は思います。
手始めに
・同じモノだったらもっと安いところは無いか
・違うものを調べる事や買う事で時間を損していないか
・本当に必要か
ということを考えてみることをオススメします。
例えば私は普段Uber EATSは不要だと思って使っていません。単純に送料分損していますし、外食をあまりしないためそもそも必要ではありません。
気安く買うを通り越したサブスク
サブスク程気安く購入できる罠を私は見た事がありません。サブスクは現代における錬金術の1つと言っても過言では無いでしょう。
サブスクは月額が1000円以下のものが多く、「このサービスをこんな値段で!?」と思ってしまうかもしれませんが多くの場合罠です。
サブスクには以下の危険性があることを理解しておいた方が良いです。
・月額支払いが少ない
・最終的には高くつく
・使っていなくても同じ料金である
詳しくは「サブスク沼」についての記事で書いているため気になった方は読んでみる事をオススメします。
「混乱をつくり出せ」で注目を集めて勝手に解釈で広まる
「混乱をつくり出せ」と言われてもピンと来ませんよね。
分かりやすいもので言うと、炎上やバズるはこの”つくり出された混乱”と言っても良いでしょう。
先ほどの有線イヤホンの件などまさにその通り。多くのメディアで取り上げていますし現に私もこの記事で引用をしています。
つまり、無料で広告をしてくれると言い換えることもできる訳です。もちろん私は先ほどのツイート主から1円も貰っていません。
また、賛否両論の内容であれば批判や擁護を行うため、多くの人で磨かれた意見が登場する事もあり得ない話では無いでしょう。良い意見が出たのをまとめたら出稿料を抑える事も出来ます。
広告&出稿料がタダならやらない手は無いと多くの人が炎上商法に挑戦しているのが今の世界なのかもしれません。
戦略十訓を知り、仕掛けを見抜いていこう
以上、戦略十訓についての解説でした。
身近な例がポンポン出てくるため私としては非常に書きやすいテーマではありましたが、逆に言えば私達はこんなにも戦略十訓に囲まれて生きているのです。
戦略十訓のうち特によく見る例は以下の7つ。中でも赤字にした3つが非常に強力だと私は思います。
- 捨てさせろ
- 無駄使いさせろ
- 組み合わせで買わせろ
- きっかけを投じろ
- 流行遅れにさせろ
- 気安く買わせろ
- 混乱をつくり出せ
「組み合わせで買わせろ」で感じたお得感は罠であることが多く
「流行おくれにさせろ」で承認欲求をゆすられたら動いてしまいますし
「気安く買わせろ」で気安く買えるようになってしまった現代。
手品の種を知った状態の今では普段身の回りにあるセールスが違った見え方がするかもしれません。
この記事で戦略十訓を知ったことで本当に必要なものを見極め、無駄な買い物を無くしていけたらと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとうございました!