今回はアイアムアヒーローについて書いていこうと思います。
アイアムアヒーローは作者:花沢健吾の漫画で2009年~2017年と約8年間に渡りビッグコミックスピリッツで掲載されていた漫画です。
さらにこの漫画、『このマンガがすごい2011』のオトコ編9位と最初はかなり評価の高い漫画でした。
しかし、私がこれから書いていくのは「アイアムアヒーローは読むべきではない(オススメできない)」という事を書いていきます。
最後には替わりにオススメできる漫画を紹介しているので良かったら最後までお楽しみください。
アイアムアヒーローの面白い点
「おいおい、読むべきじゃない理由を並べるんじゃないのか?」と思うかもしれませんね。
アイアムアヒーローは完璧な駄作ではなく、ちゃんと面白いポイントがあります。
・ゾンビパニックものなのに日常感がある
・謎が多く、続きが気になる(ワクワクする)
・展開が全く読めない
(・あと、絵がキレイ)
ゾンビパニックものなのに日常感のある違和感
まずはじめにアイアムアヒーローを一言で表すと”ゾンビパニックもの”と言えます。
最近で有名なゾンビパニックものといえば『カメラを止めるな』とかがそれに当たります。「ゾンビに噛まれると感染してゾンビになる」みたいな設定のやつです。
多くのゾンビパニックでは完全に日常が崩壊していわば臨戦態勢の張りつめた空気が漂います。
しかしアイアムアヒーローは臨戦態勢の張りつめた空気はあるもののどこか日常的な空気が漂います。
割とすぐ忘れ去られた原作で重要だった銃刀法遵守
“クレー射撃の癖で初弾「はーい」”
下段1発だけ排莢装填閉鎖するタクティカルリロード
圧倒的97発リロードタイム
散乱するマルシン青カート
1発のSKBアポロ弾#アイアムアヒーロー pic.twitter.com/5ETTbK8zSe— NewSKB@だっつんです (@NewSKB) April 30, 2016
射撃シーンもどこか気合が抜けているように見えるがそれが日常的ともいえる。
このどこか気の抜けた日常感が絶妙な面白さを出していると言っても過言ではありません。
謎が多く、続きが気になる(ワクワクする)
アイアムアヒーローには数多くの謎が散りばめられています。
・ZQNは最終的に何になろうとしているのか?
・クルスが生まれた目的は?
・最終的に人類はどうなってしまうのか?
ざっと上げるだけでこんなにもあります。
謎だらけのこの漫画、ぶっちゃけ読むと止まりません。ただ、謎が解明されるかは別として・・・
展開が全く読めない
これはゾンビパニックものであればお約束かもしれませんね。
しかし、この漫画が他のゾンビパニックものと大きく異なることがあるとすればそれは主人公:鈴木英雄の存在が大きいでしょう。
鈴木英雄を一言で言い現わすなら人間の皮を被ったナニカ。ネタバレかもしれませんが本来主人公が持っているであろう性質を彼は持ち合わせていません。そして自分との対話(妄想)に浸り帰って来ない。
彼自身はただのオッサンで魅力が無いかもしれませんが「一体どんな事をするのだろう?」というハラハラもまたこの漫画の魅力と言っても良いでしょう。
未読であるなら「何をもって人間の皮を被ったナニカ足りえるのか」という視点で見るのも面白いかもしれませんね。
絵がキレイ(おまけ程度)
風景や人物はかなりキレイです。むしろリアルすぎると言って良いほど。
アイアムアヒーローを読むべきでない3つの理由
さてここで本題、アイアムアヒーローを読むべきでない理由を挙げていきます。
理由2.巻数が多い
理由3.話が進むテンポが遅い
解明されない謎が多くてモヤモヤする
ぶっちゃけ1番の理由。
先ほどの面白いポイントで挙げた謎は基本的にほとんど明かされません。
そのため、「謎が気になって読んでたのに結局何だったんだ!」という感想を抱くはずでしょう。
”好奇心を弄ばれた気分”を味わいたければオススメします。
巻数が多い
アイアムアヒーローは全22巻となかなか多いです。
もちろん、読むこと自体は苦痛な作品ではありません。なぜなら先が気になるから。
ただ、22巻すべてを「先が気になる」で読み進めて何も分からなったとき、残る感情は虚無ではないでしょうか。
もし、アイアムアヒーローの『ア』に込められたであろう『孤独・ひとりぼっち』といった意味合いをこの虚無感と掛けていたのなら脱帽ものです。
話が進むテンポが遅い
これは「先が気になる」という方には悲報でしょう。アイアムアヒーローはテンポが遅い。
それは先ほどの面白いポイントで挙げた日常感から来ているものが多く
・猟銃を構えるやり方を教えるときのやり取り
・何気ない日常を思い出すシーン
・妄想の世界に入り込むシーン
「早く先を知りたい」と思ってもそうはさせてもらえません。
モタつく主人公にちょっとイラつくかもしれません。しかも全22巻。
人にオススメはできないが面白い漫画というポジション
もちろん、アイアムアヒーローに面白いポイントはあります。
また、いろんな方の感想を見るのも楽しいです。
このような感想に出会えたのはアイアムアヒーローを読んだからこそ。
しかし、「先が気になって読み進めて何もなかった」という感想を抱きかねないため私は人にオススメできません。
もちろん「どうしても読みたい!」というなら止めません。オススメはしませんが。
替わりにオススメするマンガ
「じゃあ代わりに何をオススメするんだ?」と聞かれたら私は即答します。
オメガトライブ
オメガトライブは半分聖書。小中高の図書館に置いて欲しいレベル。オメガトライブについてはコチラで記事を書いています。
折角なので花沢健吾作品を紹介。花沢健吾作品は『ルサンチマン』が一番オススメです。
ルサンチマンが花沢健吾作品の最高傑作
ルサンチマンはちょっと進んだ未来が舞台。
VR技術発達し、AIとプレイできるギャルゲーでAIと出会い……
VRや仮想現実といったものが身近になったのはつい最近ですよね。
しかしこの漫画は2004年にまさに今である未来を書いているのもまた面白いポイントだったりします。
そして花沢健吾作品であるため主人公はもちろん冴えないオッサンです。
ルサンチマンを一言で表すなら
『逃避した仮想現実で愛を掴むオッサン』
です。
そして、ルサンチマンという言葉は「弱者が強者へ抱く怒り」つまりは嫉妬的な感情を指す言葉です。
誰が誰に対し怒りを抱いているのか、作品を通じて理解できる。
そんな作品です。